陳述書の書き方と例文|離婚調停で伝わる作り方
本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別のご事情については弁護士等の専門家にご相談ください。
調停の場で「何が起きたのか」を口頭だけで伝えるのは、思った以上に難しいものです。緊張のなかで時系列が前後したり、肝心な点を言い忘れたりすることもあります。そんなときに、起きた事実を落ち着いて文章にまとめておくのが陳述書です。この記事では、陳述書の基本的な構成、そのまま参考にできる例文、そして日々の記録から無理なく作る手順を、できるだけ冷静に整理します。離婚を決める前の準備としても役立つ内容です。
陳述書とは何か、何のために書くのか
陳述書とは、当事者が自分の体験した事実や経緯を、自分の言葉で書面にまとめたものです。離婚調停では、申立ての事情を補足したり、口頭では伝えきれない経緯を整理して示したりするために用いられることがあります。
ここで大切なのは、陳述書は「相手を非難するための文書」ではない、という点です。読み手が知りたいのは、いつ、どこで、何が起きたのかという事実の流れです。感情をぶつける文章より、起きたことを淡々と並べた文章のほうが、結果として状況が正確に伝わりやすいとされています。
陳述書が向いている場面の例を挙げます。
- 出来事が複数あり、口頭では時系列が伝わりにくいとき
- 「言った・言わない」になりやすいやり取りを整理して示したいとき
- 写真や録音、LINEなどの記録を、経緯とつなげて説明したいとき
なお、調停そのものの流れや雰囲気をつかんでおきたい方は、離婚調停の進め方もあわせて読むと、陳述書がどの場面で使われるかをイメージしやすくなります。
陳述書の基本的な構成
陳述書に決まった様式はありませんが、一般に読みやすいとされる構成には共通点があります。次の順番を骨組みにすると、書き始めやすくなります。
| 項目 | 書く内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 表題・日付 | 「陳述書」と作成日 | 文書の冒頭に置く |
| 自己紹介 | 氏名・立場・結婚時期など | 前提を簡潔に |
| 経緯の概要 | これまでの大まかな流れ | 全体像を先に示す |
| 具体的な出来事 | 時系列で個別の事実 | ここが本体。5W1Hで |
| 現在の状況・気持ち | 今困っていること | 事実と分けて簡潔に |
| 署名 | 自筆の署名・押印 | 末尾に置く |
このうち、最も中心になるのが**「具体的な出来事」**です。ここを丁寧に書けるかどうかで、陳述書全体の伝わりやすさが大きく変わります。出来事は、起きた順に並べると流れが追いやすくなります。
出来事の核心は「5W1Hの事実」で書く
具体的な出来事を書くときの基本は、評価や決めつけではなく、起きた言動をそのまま事実として残すことです。次の要素を意識するだけで、後から読み返したときの分かりやすさが変わります。
- When(いつ):日付と、分かれば時刻
- Where(どこで):場所
- Who(だれが):当事者と、同席者がいれば誰か
- What(何を):起きた言動を、できるだけそのまま
- Why(きっかけ):直前の状況
- How(どのように):様子・程度・続いた時間
たとえば、同じ出来事でも次のように書き分けられます。
- 伝わりにくい例:「夫はいつもひどい暴言を吐く最低な人です」
- 伝わりやすい例:「6月7日21時頃、自宅リビングで、夫が『誰のおかげで生活できてると思ってる』と大声で言い、テーブルを強く叩いた。子ども(5歳)も同室にいた」
後者は、評価ではなく言動そのものを書いています。感情を添えたいときは、「怖くて何も言い返せなかった」のように、事実とは分けて書くと、文章全体が落ち着いた印象になります。5W1Hで事実を残すコツは、5W1Hで出来事を記録するコツでさらに詳しく整理しています。
陳述書の例文
参考として、出来事部分の書き方の一例を示します。あくまで型であり、実際の内容は各自の状況に合わせて書き換えてください。
私と夫は20XX年X月に結婚し、20XX年に長女が生まれました。結婚当初から、夫が機嫌を損ねると数日間口をきかなくなることがありました。20XX年頃から、生活費を渡されない日が続くようになり、私から事情を尋ねると大声で責められることが増えました。以下、特に記憶に残っている出来事を時系列で記します。
20XX年X月X日 21時頃、自宅リビングで、私が夕食の品数について「もう少し節約したい」と話したところ、夫は「誰のおかげで生活できてると思ってる」と大声で言い、テーブルを強く叩きました。この状態が約10分続き、長女(当時5歳)も同室で泣いていました。私は怖くて何も言い返せませんでした。
このときのやり取りの一部は、後日送られてきたLINEのメッセージにも残っています(別紙参照)。
このように、一つの出来事につき一段落でまとめ、関連する写真やメッセージがあれば「別紙参照」と添えると、記録同士のつながりが伝わりやすくなります。
やってしまいがちな書き方と、その直し方
良かれと思った書き方が、かえって伝わりにくくなることもあります。代表的なものを挙げます。
- 非難や決めつけが中心になっている:人物評ではなく、その日の言動を書くほうが、状況は正確に伝わります。
- 出来事を全部詰め込みすぎている:争点に関わる事実に絞り、細部は日々のメモや記録で補う形が読みやすくなります。
- 日時があいまい:「最近よく」ではなく、できる範囲で具体的な日付を残します。
- 記憶があいまいな点を断定している:はっきりしない部分は「20XX年春頃」「おおよそ」と正直に書くほうが、全体の信頼につながります。
日々の記録から陳述書を作る
陳述書を「提出が必要になってから一気に書く」のは、実はかなり大変です。時間が経つほど記憶は薄れ、日時もあいまいになりがちだからです。負担を減らす現実的な方法は、出来事をその都度記録しておき、後でそれを陳述書の形に整理することです。
リコログでは、起きた出来事を日時・場所・言動といった5W1Hの事実として数タップで残せます。記録は端末内に保存され、必要になったときには相談前メモ(陳述書のような形のPDF)として時系列に整理できます。離婚を決める前でも、「いま起きていることを事実として残しておく」ことから、落ち着いて始められます。
まとめ
- 陳述書は、起きた事実や経緯を自分の言葉で時系列にまとめた書面
- 非難より、いつ・どこで・何が起きたかを淡々と書くほうが伝わりやすい
- 中心になる「具体的な出来事」は、評価ではなく5W1Hの事実で書く
- 争点に絞って簡潔に、あいまいな点は断定せず正直に書く
- その都度の記録を残しておくと、後から正確で一貫した陳述書にしやすい
- 形式や有効性の判断は弁護士など専門家へ個別相談を
よくある質問
陳述書は手書きとパソコン、どちらで作ればよいですか?
一般に、読みやすさが大切とされており、パソコンで作成しても手書きでも問題ないと考えられています。署名は自筆で行うのが一般的です。提出先や手続きによって扱いが異なることがあるため、形式の細かな点は弁護士など専門家にご確認ください。
陳述書はどのくらいの長さで書けばよいですか?
決まった長さはありませんが、一般に、要点を時系列で簡潔にまとめた数枚程度が読みやすいとされています。出来事をすべて並べるより、争点に関わる事実を中心に絞り、細部は別の記録で補う形が現実的です。
感情や相手への非難は書いてもよいですか?
自分が感じたことを添えること自体は自然ですが、非難や決めつけが中心になると、事実を伝える力が弱まることがあります。起きた言動を事実として書き、気持ちは「そう感じた」という形で分けて書くと、落ち着いた印象になります。
陳述書はいつ作ればよいですか?
提出が必要になってからでも作れますが、出来事から時間が経つほど記憶は薄れます。離婚を決める前であっても、起きた事実をその都度記録しておくと、後で陳述書にまとめる際に正確で一貫した内容にしやすくなります。