離婚調停の流れと費用|申立てから成立までを解説
本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別のご事情については弁護士等の専門家にご相談ください。
「話し合いでは折り合いがつかず、調停という言葉が出てきたけれど、具体的に何をするのか分からない」——そう感じている方は少なくありません。離婚調停は、家庭裁判所で調停委員という第三者を介して話し合いを進める手続きで、いきなり裁判をするわけではありません。この記事では、申立てから成立・不成立までの流れ、必要書類、費用の目安、当日の進み方を、順を追って整理します。読み終えるころには、「何を準備し、どんな順で進むのか」という見通しが立っているはずです。
なお、離婚手続き全体の中で調停がどの位置にあるかは、離婚の流れ(協議・調停・裁判)もあわせて確認すると理解しやすくなります。
離婚調停とは——裁判とは違う「話し合い」の場
離婚調停(正式には「夫婦関係調整調停」)は、家庭裁判所に申し立てて行う手続きですが、裁判のように勝ち負けを決める場ではありません。男女1名ずつの調停委員が間に入り、双方の言い分を交互に聞きながら、合意点を探っていく話し合いの場です。
特徴として、一般に次の点が挙げられます。
- 当事者が直接顔を合わせないよう、交互に調停室へ入る形が多いとされています
- 話し合いがまとまれば調停成立、まとまらなければ不成立で終わります
- 原則として、いきなり裁判はできず、まず調停を経る必要があるとされています(調停前置主義)
つまり調停は、協議(夫婦だけの話し合い)と裁判の中間に位置する段階です。第三者が入ることで、当事者同士では難しかった冷静な話し合いがしやすくなる、という性質があります。
申立てから成立までの全体の流れ
離婚調停は、大きく次の段階を順に進みます。一足飛びに結論が出るわけではなく、期日(話し合いの日)を何回か重ねていくのが通常です。
| 段階 | 内容 | おおよその時期 |
|---|---|---|
| ① 申立て | 申立書・必要書類を家庭裁判所に提出 | 開始時点 |
| ② 期日の指定 | 第1回調停期日が通知される | 申立てから1か月前後 |
| ③ 調停期日 | 調停委員を介して交互に話し合う | 月1回程度のペース |
| ④ 成立/不成立 | 合意できれば成立、できなければ不成立 | 数か月〜1年程度 |
| ⑤ 手続き | 成立後は調停調書をもとに離婚届を提出 | 成立後10日以内が目安 |
ポイントは、1回の期日で終わるとは限らないという点です。争点が多いほど期日の回数が増え、全体の期間も長くなる傾向があります。逆に、論点が整理されていれば比較的早く進むこともあります。
第1回期日までの過ごし方
申立て後、第1回期日までには通常1か月ほどの時間があります。この間に、自分の主張と、その根拠になる資料を整理しておくと、当日落ち着いて話せます。何を伝えたいのか、希望する条件は何かを、箇条書きで書き出しておくとよいでしょう。
申立てに必要な書類と費用
調停を始めるには、家庭裁判所への申立てが必要です。本人だけでも申し立てられるとされており、書類は窓口や裁判所のウェブサイトで入手できます。
主な必要書類
- 申立書(夫婦関係調整調停の申立書/写し1通を含む)
- 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書、発行から一定期間内のもの)
- 事情に応じた事情説明書・進行に関する照会回答書など
- 年金分割を求める場合は年金分割のための情報通知書
書類の様式や添付物は、申立先の家庭裁判所によって細部が異なることがあります。提出前に、申立先となる相手方の住所地を管轄する家庭裁判所へ確認しておくと確実です。
費用の目安
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 収入印紙 | 1,200円分 |
| 連絡用の郵便切手 | 数百円〜千円程度(裁判所による) |
| 戸籍謄本などの取得費 | 1通あたり数百円程度 |
| 弁護士費用 | 依頼する場合は別途(事務所により異なる) |
申立て自体は、一般に数千円程度で行えるとされています。弁護士に依頼するかどうかは任意ですが、財産分与・親権・慰謝料などで強い対立が予想される場合や、相手が弁護士を立てた場合は、早めの相談が安心とされています。個別の費用や見通しは弁護士にご確認ください。
調停当日の進み方と、準備しておきたい記録
調停期日では、調停委員が双方から交互に話を聞きます。1回あたり2時間前後で、待合室も当事者ごとに分かれていることが多いとされています。感情的に相手を責める場ではなく、事実と希望を落ち着いて伝える場だと意識しておくと、話が整理されやすくなります。
調停では、主張を裏づける客観的な資料があると、調停委員にも状況が伝わりやすいとされています。たとえば次のようなものです。
- 収入や財産の状況がわかる資料(給与明細、通帳の写しなど)
- 子どもの監護・生活の状況がわかるもの
- 「いつ・何があったか」を時系列でまとめた出来事の記録
特に三つ目の「出来事の記録」は、口頭だけでは伝えきれない経緯を補う役割を持ちます。記憶だけを頼りに話すと、肝心な日付や状況を伝えそびれがちです。出来事を**5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)**で書き留めておけば、当日も落ち着いて経緯を説明できます。どんな資料が役立つかは、収入や財産がわかる書類とあわせて整理しておくとよいでしょう。
こうした記録は、リコログならスマホから数タップで残せます。日付や状況を5W1Hで記録しておけば、調停や相談の前に持参する「相談前メモ(陳述書PDF)」として整理することもできます。陳述書の形に整える際の書き方は陳述書の書き方にまとめています。
調停が成立した場合・しなかった場合
話し合いがまとまると調停成立となり、合意内容を記した調停調書が作成されます。これは確定判決と同じ効力を持つとされ、約束が守られない場合の強制執行の根拠にもなります。成立後は、調停調書を添えて、原則として10日以内に離婚届を提出する流れが一般的です。
一方、合意に至らなかった場合は調停不成立となります。この場合、離婚を求めるには次の段階である**裁判(離婚訴訟)**へ進むことになります。裁判では話し合いではなく、裁判所が証拠にもとづいて判断を下すため、より客観的な資料の有無が重視されます。裁判段階の進み方は裁判離婚の進み方で詳しく整理しています。
まとめ
- 離婚調停は、調停委員を介して話し合う家庭裁判所の手続きで、裁判とは異なる
- 原則としていきなり裁判はできず、まず調停を経るのが一般的とされる
- 申立ては本人だけでも可能で、費用は収入印紙1,200円分+切手代など数千円程度が目安
- 必要書類は申立書・戸籍謄本などで、様式は管轄の家庭裁判所に確認すると確実
- 期日は月1回程度のペースで重ね、期間は数か月〜1年程度が一つの目安
- 主張を裏づける客観的な記録があると、調停委員に状況が伝わりやすい
- 成立すれば調停調書が作られ、原則10日以内に離婚届を提出する
- 不成立の場合は裁判(離婚訴訟)へ進む流れになる
- 個別の手続きや費用、見通しは、家庭裁判所や弁護士にご相談ください
よくある質問
離婚調停は自分だけで申し立てられますか?
はい、弁護士に依頼せず本人だけでも申し立てられるとされています。申立書は家庭裁判所の窓口やウェブサイトで入手でき、書き方の案内も用意されています。ただし財産分与や親権で対立が予想される場合は、早めに専門家へ相談しておくと安心です。
離婚調停にかかる費用はどれくらいですか?
申立て自体は、収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手代を合わせて、一般に数千円程度とされています。弁護士に依頼する場合は別途費用がかかり、金額は事務所により異なります。詳しくは申立先の家庭裁判所にご確認ください。
離婚調停はどれくらいの期間がかかりますか?
ケースにより大きく異なりますが、一般的には数か月から1年程度が一つの目安とされています。期日は月1回程度のペースで開かれることが多く、争点が多いほど長引く傾向があります。個別の見通しは家庭裁判所や弁護士にご確認ください。
相手が調停に来なかったらどうなりますか?
相手方が正当な理由なく出頭しない場合、話し合いが進まず調停は不成立で終わることがあります。その後は裁判(離婚訴訟)で判断を求める流れに進むのが一般的です。状況に応じた対応は弁護士にご相談ください。