DVチェックリスト|あなたの状況の危険度を確かめる
本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別のご事情については弁護士等の専門家にご相談ください。
「自分の状況が、どのくらい深刻なのか分からない」——そう感じてこのページを開いた方は少なくないと思います。渦中にいると、危険の度合いを自分で測ることは難しく、つい「まだ大丈夫」「自分が我慢すれば」と考えてしまいがちです。この記事では、DVチェックの観点を危険度の自己点検という形で整理し、当てはまる項目から状況の偏りを確かめる方法、そして危険を感じたときの相談先までを落ち着いてまとめます。なお、これは医学的・法律的な診断ではなく、状況を整理するための補助です。
このチェックの使い方と、先に伝えたいこと
最初にお伝えしたいのは、「何個当てはまったら危険」という確定的な基準は存在しないということです。DVは身体的な暴力だけでなく、人格を否定する言葉や無視、お金や行動の支配など幅広い形で現れるとされ、その深刻さは状況によって異なります。DV全体の定義や種類はDVとは|種類と「これってDV?」を見分ける基準で整理しています。
そのうえで、このチェックは白黒をつけるためではなく、感じている不安を具体的な事実に分解して見える化するために使ってください。読み進めるときは、次の3点を意識すると整理しやすくなります。
- 繰り返しか:一度きりではなく、同じ言動が続いているか
- 力関係が偏っていないか:自分だけが萎縮し、相手の機嫌をうかがっていないか
- 逃げ場があるか:相談や外出、所持金の自由が確保されているか
まず確認したい「緊急度の高いサイン」
ほかの項目より先に、今すぐ安全の確保を考えたほうがよいサインを挙げます。次のいずれかに心当たりがある場合は、危険度の高い状況に置かれている可能性があります。
- 殴る・蹴る・首を絞める・物を投げつけるなど、身体への攻撃がある
- 「殺す」「死ね」など、命に関わる言葉で脅される
- 家から出してもらえない、スマホや財布を取り上げられる
- 凶器を見せられる、壁を殴るなどで威圧される
- 妊娠中・出産直後にも攻撃がやまない
- 子どもにも危害が及んでいる、または及びそうだと感じる
これらは「我慢の範囲」ではありません。命や身体に差し迫った危険がある場合は、迷わず110番です。緊急ではないけれど相談したいときの窓口は、後の章にまとめています。
DV危険度セルフチェック
以下を読み、最近半年〜1年ほどの間に繰り返しあると感じる項目を数えてみてください。1回だけ、かつ謝罪や改善があったものは、いったん除いて構いません。
身体・安全に関する項目
- 叩く・蹴る・突き飛ばすなど、体への攻撃を受けたことがある
- 物を投げる、壁や物を殴るなどで脅されたことがある
- 「殺す」「死ね」など、強い言葉で脅されたことがある
- 家から出してもらえない、外出を力ずくで止められた
- 同意のない性的な行為を強要された
言葉・態度に関する項目
- 「お前は無能だ」など、人格そのものを否定される
- 不機嫌になると数時間〜数日、口をきかない(無視・冷遇)
- 人前では穏やかなのに、家庭内でだけ態度が一変する
- 自分の発言を「そんなこと言っていない」と繰り返し否定される
- 親戚や友人の前で自分をけなされる、笑いものにされる
お金・行動の支配に関する項目
- 生活費を十分に渡されない、または渡され方が不安定
- お金の使い道を細かく問い詰められ、明細の提出を求められる
- 外出先や帰宅時間をいちいち報告させられる
- スマホやSNSを監視される、パスコードを教えるよう言われる
- 交友関係や実家との付き合いを制限される
自分の状態に関する項目
- 何かあると、まず「自分が悪かったのでは」と考えてしまう
- 相手の機嫌をうかがってから話す内容を決めている
- 家にいると気が休まらず、外出すると少しほっとする
- 眠れない・食欲がない・気分の落ち込みが続いている
- 誰かに相談したい気持ちを「家のことだから」と抑えている
当てはまる数で見る危険度の目安
以下はあくまで整理のための目安であり、数が少なければ問題ない、多ければ即離婚、という意味ではありません。特に「身体・安全に関する項目」は、1つでも当てはまれば危険度が高いと考えてください。
| 当てはまる数 | 状況の見方(目安) | 考えられる次の一歩 |
|---|---|---|
| 0〜2個 | 一時的なすれ違いの可能性。ただし違和感が続くなら油断は禁物 | 気になる言動を事実としてメモし始める |
| 3〜7個 | 関係に偏りが生じている兆候。継続性に注意 | 記録を続け、信頼できる人や窓口に状況を話す |
| 8個以上 | 継続的な支配・攻撃のパターンが疑われる | 安全を最優先に、相談先の確保と記録の保全を |
| 身体・安全項目に1つでも該当 | 危険度が高い可能性 | 早めに専門の相談窓口へ。緊急時は110番 |
繰り返しになりますが、これは診断ではありません。**数より「繰り返しているか」「身の危険や逃げ場のなさを感じているか」**を重視してください。個別の判断については、弁護士や公的な相談窓口にご相談いただくのが確実です。
危険を感じたときの相談先
「どこに連絡すればいいか分からない」という不安は、いざというときの動きを鈍らせます。あらかじめ主な窓口を知っておくと安心です。連絡は安全な場所・端末から行ってください。
| 状況 | 連絡先 | 内容 |
|---|---|---|
| 命や身体に差し迫った危険がある | 110番 | 警察への緊急通報 |
| DVについて相談したい | DV相談ナビ #8008(はれれば) | 最寄りの相談機関につながる全国共通番号 |
| 警察に相談したいが緊急ではない | 警察相談専用 #9110 | 生活の安全に関する相談 |
| 配偶者からの暴力全般 | 配偶者暴力相談支援センター | 各都道府県の相談・保護・自立支援の窓口 |
相談をためらう理由として「証拠がないから」という声をよく聞きますが、証拠がなくても相談はできます。むしろ、いつ・どこで・何があったかを記録したメモがあると、相談先での説明がスムーズになります。相談先の選び方はDV相談ナビ #8008とは|相談先の選び方でも整理しています。
危険度を「記録」で見える化する
セルフチェックで気づいた点は、時間が経つと記憶があいまいになりがちです。そこで役立つのが、気づいた言動をその都度、事実として書き留めておくことです。チェックリストの「印象」を、後から見返せる「記録」に変えておくイメージです。
記録のコツは、感情だけでなく**5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・どのように)**で残すことです。
| 項目 | 記録の例 |
|---|---|
| 日時 | 2026年6月8日 23時頃 |
| 場所 | 自宅寝室 |
| 言動 | 家計の相談をしたら「誰のおかげで暮らせてると思ってるんだ」と怒鳴られ、その後物を投げられた |
| 自分への影響 | 言い返せず、その夜は眠れなかった |
| 証拠の有無 | 投げられた物の写真を撮影 |
こうした記録は、紙のノートでも構いません。リコログを使えば、出来事を5W1Hで残し、相談前のメモ(陳述書PDF)として整理することもできます。離婚を決める前の段階でも、「あとで自分を守るための記録」を今日から始められます。なお、記録は相手と共有していない端末やアカウントで管理し、安全が確保できないときは外出先などから残すと安心です。
まとめ
- DVチェックに「何個で危険」という確定的な基準はなく、状況整理の目安として使う
- 数より、繰り返しと力関係の偏り、そして逃げ場のなさを重視する
- 身体・安全に関する項目は、1つでも当てはまれば危険度が高い可能性がある
- 命や身体に差し迫った危険があれば迷わず110番、相談はDV相談ナビ #8008 や #9110 へ
- 気づいた言動は、印象のままにせず5W1Hの事実として安全な場所で記録しておく
よくある質問
DVチェックは何個当てはまったら危険ですか?
「何個で危険」という確定した基準はありません。チェックは状況を整理するための目安です。数より、特定の言動が繰り返されているか、身の危険や逃げ場のなさを感じているかを重視してください。1項目でも深刻なものがあれば相談を検討する理由になります。
身の危険を感じたとき、まずどこに連絡すればよいですか?
命や身体に差し迫った危険がある場合は迷わず110番です。緊急ではないが相談したいときはDV相談ナビ #8008、警察への相談は #9110 が利用できます。いずれも安全な場所・端末から連絡することを優先してください。
証拠がなくてもDVの相談はできますか?
証拠がなくても相談はできます。ただし、いつ・どこで・何があったかを記録したメモがあると、相談先での説明がスムーズになります。完璧な証拠を待つより、今日から事実を書き留めることが現実的な第一歩です。
チェックしたことを相手に知られたくありません。
記録は相手と共有していない端末やアカウントで管理するのが安全です。閲覧履歴やメモアプリの同期にも注意してください。安全が確保できないときは、外出先や信頼できる人の場所から相談・記録を行う方法もあります。