📝 DV・暴力

精神的DVとは|暴言・束縛・無視の具体例と記録のしかた

公開 2026年6月8日・約6分で読めます・リコログ編集部

本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別のご事情については弁護士等の専門家にご相談ください。

「殴られてはいないけれど、言葉や態度でいつも追い詰められている」——そう感じてこのページを開いた方は少なくないと思います。目に見える傷がないぶん、「これはDVと呼べるのか」「自分が我慢すればいいだけなのか」と判断しづらいのが、精神的DVの難しいところです。この記事では、精神的DVとは何かを、暴言・束縛・無視といった具体例とともに落ち着いて整理し、モラハラとの重なりや診断書・記録の考え方、そして迷ったときに今日からできることまでをまとめます。

精神的DVとは

精神的DVとは、一般に言葉や態度によって相手の心を継続的に傷つけ、自尊心を削り、支配していく行為を指すとされています。身体的なDVと違って傷が外から見えないため、被害を受けている本人ですら「考えすぎかもしれない」「自分が悪いのかも」と気づきにくいのが特徴です。

ここで押さえておきたいのは、一度きりの厳しい言葉ではなく、継続性と力関係の偏りです。片方が一方的に責め、もう片方だけが萎縮していく状態が長く続いているなら、それはすでに対等な夫婦喧嘩とは言いにくい、と語られることがあります。精神的DVは、DV全体のなかの一つとして整理されることが多く、その位置づけはDVの種類でも触れています。

精神的DVの具体例|暴言・束縛・無視

精神的DVの現れ方はさまざまですが、ここでは代表的なものを「暴言」「束縛」「無視」の3つに分けて、具体例とともに見ていきます。次のような言動が繰り返し見られる場合、精神的DVの可能性があるとされています。

中心にあるもの言動の例
暴言言葉による人格の否定・威圧「お前は何もできない」「だからダメなんだ」と繰り返す、大声で怒鳴る、舌打ち・ため息で威圧する
束縛行動や人間関係の制限交友や外出を細かく制限する、スマホの中身やGPSを監視する、行き先をその都度確認する
無視態度による支配(サイレント)話しかけても返事をしない、長期間口をきかない、存在しないかのように振る舞う

暴言

最も分かりやすいのが暴言です。行動への注意ではなく、「人間としてダメだ」と人格そのものを否定する点に特徴があります。直接的な罵倒だけでなく、ため息・舌打ち・無言の威圧など、声を荒げない形で相手を萎縮させるものも含まれるとされています。

束縛

交友関係や外出、連絡を制限し、相手を孤立させていくものが束縛です。「心配だから」という言葉で始まることも多く、される側が支配だと気づきにくいことがあります。孤立させることで、相談相手がいなくなり、ほかの言動も表に出にくくなる、という関係も指摘されています。

無視

話しかけても応じない、不機嫌な態度を長期間続ける、といった態度による支配は「サイレント・モラハラ」とも呼ばれます。手を上げているわけでも怒鳴っているわけでもないため、外からは分かりにくく、される側だけが「自分が悪かったのか」と気を遣い続ける構図になりやすいとされています。

「誰のおかげで生活できてると思ってるの?」——生活費の相談をしただけでこう言われた、というのは精神的DVの典型例としてよく挙げられます。

モラハラとの重なり

精神的DVと近い言葉に「モラハラ(モラルハラスメント)」があります。両者には明確な線引きがあるわけではなく、重なる部分が大きいとされています。一般に、モラハラは言葉や態度による精神的な攻撃を指す言葉として使われ、精神的DVとほぼ同じ内容を指すことも少なくありません。

呼び方の違いに厳密な意味があるわけではないため、「自分のはモラハラなのか精神的DVなのか」と一つに決めようとすると、かえって状況が見えにくくなることがあります。言葉や態度による支配という共通点に目を向けるほうが、実態に近いことが多いのです。モラハラ側からの整理はモラハラとはにまとめています。どちらの言葉を使うにせよ、大切なのは起きた事実を残しておくことです。

身の危険を感じる場合は一人で抱えず、110番/DV相談ナビ #8008/警察相談 #9110 など、安全な場所からの相談を検討してください。

診断書と記録の考え方

精神的DVには目に見える傷が残りにくいため、「何が手がかりになるのか」が分かりにくい、という声があります。ここでは、診断書と日々の記録という2つの面から考え方を整理します。

診断書について

不眠・気分の落ち込み・不安などの不調が続く場合、医療機関を受診すると、医師が必要と判断すれば診断書が作成されることがあります。ただし、作成の可否や記載内容は医師の判断によるため、希望すれば必ず出るというものではありません。また、診断書が後の手続きでどのように扱われ得るかといった点は、状況によって異なります。個別の判断については、弁護士や公的な相談窓口にご相談ください。

日々の記録について

診断書とは別に、自分の手で残せるのが日々の記録です。精神的DVは継続性が問題になりやすいため、いつ・どんな言動があったかを時系列で書き留めておくことには、次のような意味があるとされています。

  1. 自分の感覚を客観視できる:書き出すことで、思い込みではなかったかを落ち着いて確認できる
  2. 相談がスムーズになる:窓口や弁護士に、時系列で具体的に説明しやすくなる
  3. 後で自分を守る手がかりになる:別居や離婚を検討する場合の材料になり得る

記録のコツは、感情だけでなく**5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・どのように)**で事実を残すことです。

項目記録の例
日時2026年6月8日 21時頃
場所自宅リビング
言動生活費の相談をしたら「誰のおかげで生活できてると思ってるんだ」と大声で言われた
自分への影響怖くて言い返せなかった。その夜は眠れなかった
証拠の有無なし(次回から録音を検討)

こうした記録は紙のノートでも構いません。リコログを使えば、出来事を5W1Hで残し、相談前のメモ(陳述書PDF)として整理することもできます。離婚を決める前の段階でも、「あとで自分を守るための記録」を今日から始められます。

まとめ

  • 精神的DVとは、暴言・束縛・無視など言葉や態度で心を継続的に傷つけ支配する行為とされる
  • 一度きりではなく、継続性と力関係の偏りが見分けの目安になる
  • モラハラとは重なる部分が大きく、呼び方を急いで決める必要はない
  • 診断書の作成可否は医師の判断による。個別の扱いは弁護士や相談窓口へ
  • どの言葉を使うにせよ、起きた事実を5W1Hで記録しておくことが現実的な第一歩
  • 危険を感じる言動があれば、安全な場所から相談を

よくある質問

精神的DVとはどのようなものですか?

一般に、暴言・束縛・無視など、言葉や態度によって相手の心を継続的に傷つけ支配する行為を指すとされています。身体的な暴力と違って傷が見えにくく、される側も「自分が悪いのかも」と思わされやすい点が特徴とされています。

精神的DVとモラハラはどう違いますか?

明確な線引きはなく、重なる部分が大きいとされています。一般にモラハラは精神的な攻撃を指す言葉として使われ、精神的DVとほぼ同じ内容を指すことも多いです。呼び方を急いで決めるより、起きた事実を記録しておくことが現実的です。

精神的DVで診断書はもらえますか?

精神的な不調が続く場合、医療機関を受診し医師が必要と判断すれば診断書が作成されることがあります。ただし作成可否や記載内容は医師の判断によります。診断書が証拠になり得るかなどの個別判断は、弁護士にご相談ください。

証拠がなくても相談していいですか?

構いません。完璧な証拠を待つ必要はなく、日時と具体的な言動を書いたメモがあるだけでも相談先での説明がしやすくなります。まずは起きたことを事実として書き留めることが、現実的な第一歩とされています。