DVの種類は5つ|身体的・精神的・経済的・性的・社会的
本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別のご事情については弁護士等の専門家にご相談ください。
「DVには種類があると聞いたけれど、自分の状況がどれに当てはまるのか分からない」——そう感じてこのページを開いた方は少なくないと思います。叩かれてはいないけれど追い詰められている、お金のことで自由がきかない、といった経験が「DVと呼べるのか」は、渦中にいるほど判断しづらいものです。この記事では、DVの種類を代表的な5つに分けて、具体例とともにできるだけ落ち着いて整理します。
DVは5つの種類に分けて理解されることが多い
DV(ドメスティック・バイオレンス)とは、一般に配偶者やパートナーなど親密な関係にある相手から受ける暴力を指すとされています。その現れ方によって、次の5つに分けて理解されることが多くあります。
| 種類 | 中心にあるもの | 言動の例 |
|---|---|---|
| 身体的DV | 体への直接的な攻撃 | 殴る、蹴る、突き飛ばす、物を投げつける |
| 精神的DV | 言葉や態度で心を傷つける | 人格の否定、怒鳴る、長期間の無視、脅す |
| 経済的DV | お金による支配 | 生活費を渡さない、働くことを許さない、収入を独占する |
| 性的DV | 性的な行為の強要・拒否 | 同意のない行為の強要、避妊への非協力 |
| 社会的DV | 人間関係や行動の制限 | 交友・外出の制限、連絡先や行動の監視 |
ここで先に押さえておきたいのは、これらはきれいに一つだけ当てはまるとは限らないということです。多くの場合、複数の種類が同時に、あるいは入れ替わりながら現れます。「どれに分類するか」を急ぐよりも、それぞれがどういうものかを知っておくほうが、自分の状況を見つめ直す手がかりになります。DVそのものの定義はDVとはでも整理しています。
5つの種類を具体例で見る
身体的DV
最もイメージしやすいのが身体的DVです。殴る・蹴るといった直接的な暴力のほか、突き飛ばす、髪を引っ張る、物を投げつける、壁を殴って威圧するなども含まれるとされています。目に見える傷が残りやすい一方で、「これくらいなら」と本人が軽く受け止めてしまうこともあります。
精神的DV
言葉や態度によって相手の心を傷つけ、自尊心を削っていくものが精神的DVです。次のような言動が例として挙げられます。
- 「お前は何もできない」など人格を繰り返し否定する
- 大声で怒鳴る、ため息や舌打ちで威圧する
- 長期間口をきかない、存在を無視する
- 「別れるなら職場にばらす」などと脅す
外から見えにくく、される側も「自分が悪いのかも」と思わされやすいのが特徴です。言葉や態度による支配という点ではモラハラと重なる部分が大きく、両者は地続きの問題として語られることもあります。
経済的DV
お金を使って相手の生活の自由を奪うものが経済的DVです。生活費を渡さない、働くことを許さない(あるいは無理に働かせる)、収入や貯金を一方的に管理して使い道を細かく問い詰める、といった言動が例として挙げられます。「誰のおかげで生活できているんだ」という言葉とともに現れることも多く、経済的な依存をつくり出すことで相手を家庭にとどめる構図になりやすいとされています。
性的DV
同意のない性的な行為の強要や、避妊への非協力などが性的DVに当たるとされています。夫婦やパートナーの間でも、相手の意思を無視した行為は問題になり得るという考え方が一般的です。性質上もっとも打ち明けにくい種類とされ、表に出にくい点に難しさがあります。
社会的DV
交友関係や外出、連絡を制限し、相手を孤立させていくものが社会的DVです。友人や実家との付き合いを嫌がる、スマホの中身やGPSで行動を監視する、外出のたびに細かく行き先を確認する、といった言動が例として挙げられます。孤立させることで他の種類のDVが表に出にくくなる、という関係もあるとされています。
なぜ複数が重なって現れるのか
ここまで5つに分けて見てきましたが、実際にはいくつかの種類が組み合わさって現れることが多いとされています。たとえば、
- 生活費を渡さない(経済的)一方で「誰のおかげで生活できているんだ」と人格を否定する(精神的)
- 交友を制限して孤立させた(社会的)うえで、相談相手のいない状態で怒鳴る(精神的)
といった組み合わせは、典型的なパターンとして語られます。これは、一つの種類だけでは相手を支配しきれないとき、別の手段が重なっていく構造があるためと説明されることがあります。
だからこそ、「自分のは精神的DVなのか経済的DVなのか」と一つに決めようとすると、かえって状況が見えにくくなることがあります。重なっている事実をそのまま捉えるほうが、実態に近いことが多いのです。
種類が分かったら、起きたことを記録する
自分の状況がどの種類に当てはまるのかが少し見えてきても、それを今すぐ「DVだ」と結論づけたり、いきなり離婚を決めたりする必要はありません。迷いの段階で現実的にできるのは、起きたことを事実として書き留めておくことです。
記録には、次のような意味があるとされています。
- 自分の感覚を客観視できる:書き出すことで、思い込みではなかったかを落ち着いて確認できる
- 相談がスムーズになる:窓口や弁護士に、時系列で具体的に説明しやすくなる
- 後で自分を守る手がかりになる:別居や離婚を検討する場合の材料になり得る
記録のコツは、感情だけでなく**5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・どのように)**で残すことです。たとえば「6月8日21時頃、自宅リビングで、生活費の相談をしたら『誰の金だと思っている』と大声で怒鳴られた(経済的・精神的)」というように、種類を意識しながら事実を書き留めると、後から読み返しても状況が分かります。
こうした記録は紙のノートでも構いません。リコログを使えば、出来事を5W1Hで残し、相談前のメモ(陳述書PDF)として整理することもできます。離婚を決める前でも、「あとで自分を守るための記録」を今日から始められます。なお、ここでの整理はあくまで自分の状況を見つめ直すための目安であり、医学的・法律的な診断ではありません。個別の判断については、弁護士や公的な相談窓口にご相談ください。
まとめ
- DVの種類は身体的・精神的・経済的・性的・社会的の5つに整理されることが多い
- 殴られていなくても、言葉・お金・行動の制限による支配はDVに当たり得る
- 実際には複数の種類が重なって現れることが多く、一つに分類する必要はない
- どの種類かを急ぐより、重なっている事実を5W1Hで記録しておくことが現実的な第一歩
- 危険を感じる言動があれば、安全な場所から相談を
よくある質問
DVの種類はいくつありますか?
一般に身体的・精神的・経済的・性的・社会的の5つに整理されることが多いとされています。ただし明確な線引きがあるわけではなく、複数の種類が重なって現れることも少なくありません。個別の判断は相談窓口や弁護士にご確認ください。
殴られていなくてもDVに当たりますか?
当たり得ます。一般にDVは身体的な暴力だけでなく、人格を否定する言葉や無視(精神的)、生活費を渡さない(経済的)なども含むとされています。目に見える傷がなくても、継続的に追い詰められている状態は問題として扱われ得ます。
経済的DVとはどのようなものですか?
お金を使って相手を支配する言動を指すとされ、生活費を渡さない、働くことを許さない、収入や貯金を独占する、使い道を細かく問い詰めるなどが例として挙げられます。生活の自由を奪われている状態が続く場合は注意が必要とされています。
複数の種類が当てはまる場合はどう考えればよいですか?
DVは複数の種類が重なって現れることが多いとされ、どれか一つに分類する必要はありません。むしろ重なっている事実をそのまま記録しておくほうが、後の相談で状況を伝えやすくなります。分類より、起きたことを残すことが現実的です。