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法テラスの使い方|弁護士費用を立て替える制度と条件

公開 2026年6月8日・約7分で読めます・リコログ編集部

本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別のご事情については弁護士等の専門家にご相談ください。

「弁護士に相談したいけれど費用が心配」「収入が少なくても法的な手続きを進められるのだろうか」——離婚を考えるとき、お金の不安が相談そのものをためらわせることは珍しくありません。そうした方の入口になり得るのが、国が設けた**法テラス(日本司法支援センター)**です。この記事では、法テラスとは何か、弁護士費用を立て替える制度(民事法律扶助)の条件や利用の流れ、相談前の準備までを、煽らず事実ベースで整理します。離婚を急ぐかどうかは別として、「使える可能性のある制度を知っておく」ための手がかりとしてお使いください。

法テラスとは何か

法テラスは、法的なトラブルを抱えた人がどこに相談すればよいかわからない状態を解消するために、国が設立した公的な機関です。正式名称は「日本司法支援センター」といい、全国に窓口があります。

主な役割は、おおまかに次の3つに整理できます。

  • 情報提供:問い合わせに対して、適した相談窓口や手続きを案内する(誰でも無料)
  • 民事法律扶助:収入等の条件を満たす人に、無料の法律相談や弁護士・司法書士費用の立替を行う
  • その他の支援:犯罪被害者支援やDV被害者への情報提供など、分野ごとの支援

ここで押さえておきたいのは、「法テラスへの問い合わせ」と「無料相談・費用立替の利用」は別物だという点です。問い合わせ自体は条件を問わず無料ですが、無料の法律相談や弁護士費用の立替を受けるには、後述する収入などの条件を満たす必要があるとされています。

弁護士費用を立て替える「民事法律扶助」とは

法テラスの中でも、離婚を考える方が関心を持ちやすいのが民事法律扶助です。これは、経済的に余裕がない方が法的トラブルを抱えたときに、無料の法律相談や、弁護士・司法書士費用の立替を受けられる制度とされています。

特に重要なのが、これは「もらえるお金」ではなく**「立て替えてもらうお金」だという点です。立て替えられた弁護士費用は、原則として後から分割で返していく**仕組みとされています。一般に毎月一定額(無理のない範囲で設定されることが多いとされます)を返済していく形で、生活状況によっては返済が猶予・免除される場合もあるとされますが、一律ではありません。

「立替」という言葉から無償の給付と誤解されることがありますが、民事法律扶助は原則として返済を前提とした制度です。とはいえ、一度に高額な着手金を用意しなくても弁護士に依頼できる点で、費用面のハードルを大きく下げる仕組みといえます。具体的な返済額や条件は、法テラスに個別にご確認ください。

民事法律扶助で受けられる支援は、大きく次の2つに分かれます。

支援の種類内容(一般的な説明)費用の扱い
無料法律相談(法律相談援助)弁護士・司法書士に無料で相談できる(回数の上限あり)無料
弁護士費用等の立替(代理援助・書類作成援助)依頼にかかる着手金・実費などを法テラスが立て替える原則あとから分割返済

離婚であれば、まず無料法律相談で見通しを聞き、調停や交渉を弁護士に依頼する段階で費用立替を利用する、という流れが想定されます。調停そのものの進み方については離婚調停の進め方もあわせてご覧ください。

利用できる条件(収入・資産の目安)

民事法律扶助を利用するには、主に次の条件を満たす必要があるとされています。いずれも法テラスが収入証明などをもとに審査します。

  • 収入が一定額以下であること:手取り月収が、世帯人数に応じた基準以下であること
  • 資産が一定額以下であること:預貯金などの資産が、基準を超えないこと
  • 勝訴の見込みがないとはいえないこと:明らかに見込みがない場合などは対象外とされる
  • 民事法律扶助の趣旨に適すること:報復目的など、制度の趣旨に反しないこと

収入や資産の基準額は、世帯人数や住んでいる地域(家賃負担の有無など)によって変わるとされており、年度によって見直されることもあります。具体的な金額は法テラスの最新の案内で確認するのが確実です。「自分は条件に当てはまるだろうか」と迷う段階では、まず法テラスに世帯状況を伝えて確認するところから始めるとよいでしょう。

なお、収入が少なく弁護士費用が不安な状況については、お金がない場合の離婚準備でも、使える可能性のある制度を含めて整理しています。

法テラスを利用するまでの流れ

実際に法テラスを使う場合、おおよそ次のような流れになります。地域や事案によって細部は異なりますが、全体像をつかんでおくと動きやすくなります。

  1. 問い合わせ:電話やWebで法テラスに連絡し、状況を伝える(この段階は無料)
  2. 相談の予約:条件に当てはまりそうなら、無料法律相談の予約を取る
  3. 必要書類の準備:収入証明や世帯状況がわかる資料などを用意する
  4. 無料法律相談:弁護士・司法書士に相談し、見通しを聞く
  5. 費用立替の申込・審査:依頼に進む場合、民事法律扶助の申込みを行い審査を受ける
  6. 依頼・手続きの開始:審査を通れば、立替を利用して弁護士に依頼する

準備しておくと審査・相談がスムーズになる書類の例を挙げます。すべてが常に必要とは限らないため、何が要るかは事前に確認してください。

  • 収入を証明する資料(給与明細、源泉徴収票、課税証明書など)
  • 世帯の状況がわかるもの(住民票など)
  • 事案の内容がわかる資料(相手とのやり取り、関係書類など)

身の危険を伴うDVなどの事情がある場合は、費用の話より先に安全の確保が優先されます。緊急性のある状況では、DV相談ナビ(#8008)の使い方などの専門窓口もあわせて確認してください。

相談を有効に使うための「事実の整理」

法テラスに限らず、法律相談は時間が限られているのが一般的です。その場で記憶をたどりながら話すと、肝心な出来事を伝えそびれたり、感情的な訴えに終始してしまったりしがちです。

一般に、相談の場では客観的な事実の積み重ねが重視されるとされており、起きたことを**5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どうした)**で時系列に整理しておくと、短い相談時間でも正確に状況を伝えられます。

  • いつ・どこで、何があったか
  • そのときの相手の言動、自分や子どもへの影響
  • お金(生活費・婚姻費用など)に関するやり取りの有無
  • 録音・写真・メッセージなど、手元にある記録の有無

こうした出来事は、後からまとめて思い出すのが難しいものです。その都度、事実を淡々と残しておくために、**リコログ**のようなツールで5W1Hの形で記録し、相談前のメモ(陳述書のような形式)に整理しておく方法もあります。整理された記録が手元にあるだけで、法テラスや弁護士への説明はぐっとスムーズになります。

まとめ

  • 法テラスは、法的トラブルの相談先を案内する公的機関で、問い合わせ自体は誰でも無料
  • 「情報提供」と「民事法律扶助(無料相談・費用立替)」は別物で、後者には収入などの条件がある
  • 弁護士費用の立替は「もらえるお金」ではなく、原則あとから分割で返す「立て替え払い」とされる
  • 利用条件(収入・資産の基準)は世帯人数や地域で変わり、年度ごとに見直されることもある
  • 離婚・養育費・財産分与・DVなどの民事・家事の問題も対象になり得るとされる
  • 相談前に出来事を5W1Hで時系列に整理しておくと、限られた相談時間を有効に使える
  • 条件に当てはまるか、返済額がどうなるかなど個別の判断は、法テラスや弁護士にご確認ください

よくある質問

法テラスは誰でも無料で使えますか?

法テラスへの問い合わせ自体は誰でも無料です。ただし、無料の法律相談や弁護士費用の立替(民事法律扶助)には、収入・資産が一定額以下などの条件があるとされています。条件を満たすかどうかは、収入証明などをもとに法テラスが審査します。詳細は法テラスに個別にご確認ください。

法テラスの弁護士費用の立替は、返さなくてよいお金ですか?

いいえ。民事法律扶助による弁護士費用の立替は、原則として後から分割で返していく仕組みとされています。免除される場合もあるとされますが一律ではありません。立替は「無償の給付」ではなく「立て替え払い」である点を、利用前に確認しておくことが大切です。

離婚の相談でも法テラスは使えますか?

一般に、離婚・養育費・財産分与・DVなどの民事・家事の問題は、法テラスの法律相談や扶助の対象になり得るとされています。ただし利用には収入などの条件があります。まずは法テラスに状況を伝え、自分のケースが対象になるか確認するところから始めるとよいでしょう。

相談の前に準備しておくものはありますか?

必須ではありませんが、収入や世帯の状況がわかる資料と、いつ・どこで・何があったかを時系列でまとめたメモがあると、限られた相談時間を有効に使えます。資産や家族構成など聞かれそうな項目を箇条書きにしておくと、審査や相談がスムーズに進みやすくなります。