有責配偶者からの離婚請求は認められる?原則と例外
本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別のご事情については弁護士等の専門家にご相談ください。
「裏切ったのは向こうなのに、その相手から離婚を切り出されてしまった」——そんな理不尽さに、言葉を失っている方もいるかもしれません。傷つけられた側が、さらに「離婚してくれ」と迫られる。納得できないのは、当然のことです。
まず知っておいてほしいのは、不貞などをした側(有責配偶者)からの離婚請求は、原則として認められにくいとされていることです。この記事では、その原則と例外、そして請求された側ができる対応を、できるだけやさしく整理します。
そもそも「有責配偶者」とは
有責配偶者とは、夫婦関係が壊れた主な原因をつくった側を指す言葉です。代表的なのは、不貞行為(いわゆる不倫)をした人や、悪意の遺棄・DVなどで婚姻関係を破綻させた人です。
ここで大切なのは、「離婚したい側=有責」ではない、という点です。
- 離婚を望むこと自体に責任があるわけではない
- 「誰が婚姻関係を壊す原因をつくったか」が問われる
- 夫婦のどちらにも非がある場合は、程度を比べて判断されることが多い
つまり「相手が離婚を言い出した」だけでは、相手が有責配偶者と決まるわけではありません。一般的には、不貞などの事実を主張する側に、それを示す材料が求められるとされています。だからこそ、後ほど触れる「記録」が意味を持ってきます。
原則:有責配偶者からの離婚請求は認められにくい
裁判で離婚が認められるには、法律で定められた理由が必要とされています。その一つに「婚姻を継続しがたい重大な事由」がありますが、自分でその原因をつくった人が「もう関係が壊れている」と主張して離婚を求めるのは、信義に反すると考えられてきました。
ざっくり言えば、「自分で家庭を壊しておいて、壊れたから別れたい、というのは虫が良すぎる」という考え方です。
- 不貞をした側が「愛情が冷めた」と離婚を求めても、そのままでは認められにくいのが一般的
- これは、傷つけられた側が一方的に追い出される事態を防ぐためとも言われます
- ただし、これは「裁判」になった場合の話です
ここは誤解しやすいポイントなので補足します。協議離婚や調停では、お互いが合意すれば理由を問わず離婚は成立します。あなたが「離婚しない」と決めれば、相手が有責である限り、裁判でも認められにくい——という構図になります。判断は最終的にケースごとに異なるため、専門家への相談が安心です。
例外:それでも認められることがある3つの要素
ただし「絶対に認められない」わけではありません。過去の裁判例の積み重ねの中で、次のような事情がそろうと、有責配偶者からの請求でも認められることがあるとされています。一般に重視されるのは、次の3つの要素です。
- 別居期間が相当長いこと:年単位の長い別居が一つの目安とされますが、何年なら必ず、という固定された基準があるわけではありません。
- 未成熟の子がいないこと:まだ親の養育を必要とする子がいる場合は、より慎重に判断される傾向があります。
- 離婚で相手が過酷な状況に置かれないこと:請求された側が経済的・精神的に著しく苦しい立場に追い込まれないか、が見られます。
これらは「一つでも満たせばOK」という単純なものではなく、全体を総合的に見て判断されるとされています。同じような状況でも結論が分かれることがあり、ここはまさに弁護士に見立ててもらう価値が大きい部分です。
請求された側ができること
離婚を切り出された側として、できることを落ち着いて整理しておきましょう。あなたには、立ち止まって考える権利があります。
- すぐに返事をしない:感情が高ぶっているときの即答は避け、「考えさせてほしい」と伝えるだけで十分です。
- 条件を整理する:もし離婚に応じる場合でも、慰謝料・財産分与・養育費・面会などの条件は、後からでは取り返しがつきにくいものです。
- 不貞などの事実を裏づける材料を残す:相手の有責性は、こちらが主張・立証する場面が出てきます。
- 専門家に相談する:法テラスや弁護士の無料相談など、費用を抑えて使える窓口から始めるのが一般的です。
焦って署名・捺印してしまうことだけは、避けたいところです。一度応じてしまった条件は、後で「やっぱり不利だった」と気づいても、見直しが難しくなりがちです。
安全がおびやかされているときは
離婚の話し合いの中で、相手が威圧的になったり、身の危険を感じたりすることがあります。安全は、どんな条件よりも優先されるべきものです。我慢して話し合いを続ける必要はありません。
- 身の危険を感じたら、ためらわず 110番
- DVの悩みは、DV相談ナビ #8008(はれれば)
- つらい気持ちを誰かに聞いてほしいときは、よりそいホットライン 0120-279-338(24時間・無料)
「これくらいで連絡していいのかな」と迷う必要はありません。声をあげることは、弱さではなく、自分を守る大切な行動です。
「事実を残すこと」が、後であなたを守る
有責配偶者からの離婚請求をめぐる話は、最終的に「何があったか」を示せるかどうかが大きな分かれ目になります。けれど人の記憶は、時間とともに薄れ、つらい出来事ほど思い出すのが苦しくなります。
だからこそ、起きたことを「いつ・どこで・何があったか」と日付つきで残しておくことが、いざというときの自分の支えになります。それは相手を責めるためではなく、自分の身に起きた現実を、自分の言葉で抱えておくためのものです。
リコログは、そうした記録を無料・匿名で残せる、あなただけのノートのような場所です。今日のことを一行書き留めておく。その小さな積み重ねが、いつか「あのとき記録しておいてよかった」と、あなたを守る材料になるかもしれません。
あなたは悪くありません。気づけた今日から、できることを一つずつで大丈夫です。
よくある質問
不倫した相手からの離婚請求は認められないのですか?
一般的には、不貞などをした有責配偶者からの離婚請求は、裁判では原則として認められにくいとされています。ただし長期の別居や未成熟の子がいないことなど一定の事情がそろうと認められる場合もあり、判断はケースによって異なります。最終的な見通しは弁護士に相談すると安心です。
別居が何年続けば、有責配偶者でも離婚が認められますか?
別居期間の長さは重視される要素の一つですが、「何年で必ず認められる」という固定の基準があるわけではありません。子どもの有無や、相手が離婚で過酷な状況に置かれないかなどを総合的に見て判断されるとされています。具体的な目安は個別の事情によって変わります。
離婚を切り出されました。すぐに応じないといけませんか?
いいえ。返事を急ぐ必要はありません。相手が有責配偶者であれば、あなたが応じない限り裁判でも認められにくいのが一般的です。慰謝料や財産分与などの条件は後から見直しにくいため、署名・捺印の前に専門家へ相談することをおすすめします。
相手の不貞を示す材料は、どう残せばいいですか?
いつ・どこで・何があったかを、感情ではなく事実として日付つきで記録しておくのが基本とされています。やり取りや状況をその都度メモに残すことで、後の話し合いや相談の材料になります。リコログなら無料・匿名で、こうした記録を手元に残しておけます。